怖い

小さい頃、祖父はなぜいつも昔の話ばかりするのだろうかと思っていた。しかし、いまはその気持ちがよくわかる。いや、わかってはいけないのかもしれないが。

年齢を重ねるごとに懐古的になる。新しいものを受け入れ難くなる。過去の記憶の中に引きこもり、新しいものを否定し、身を守る。日々新しいことに挑戦したいと強く思っているが、一方で、そんな自分の存在を感じとる瞬間がある。言い得ぬ恐怖を感じる。

この恐怖を感じなくなった日が、モノをつくる人間としての死亡記念日になるのだろう。

積極的に新しいものに触れなければと思い、前から気になっていた「kindleで摂取できる地獄」と評判の漫画を読んでみた。……え、めっちゃこわ。

たまたま

ある雑誌の対談で、昔を振り返り「自分は当時たまたま腐女子だった」旨の発言をしている箇所があるのだが、それをあとでご覧になった編集長が「腐女子って”たまたま”なるものなの!?」と大笑いしていた、という話を人づてに聞き恥ずかしくなる。そうですね、たまたまなるものじゃないですね……。

どうして腐女子になってしまったのか。中学生のとき、仲の良かった女の子がBLの同人誌を貸してくれて「こんな世界もあるのか!」と驚き、そこから目覚めたような記憶があるが25年近くも前のことなので定かではない。某剣客浪漫譚に大いにハマリ、『抜○ろまんす』なるアンソロジー本を大量に買い集め、実家の本棚の辞典の裏に隠していたがあれはどうなったのか。当時執筆されていた影○栄貴先生の作品が、線がキレイで大変好みだったが、大人になってからDA○GOさんのお姉様だったと知って驚愕。

現在のようにインターネットも普及しておらず、おたく全般が市民権を得ている時代ではなかったので、隠れキリシタンのようにひっそりと活動していたのが懐かしい。

某剣客浪漫譚に関しては、この話をするといまでも「何のカップリングが好きだったのですか?」と問われることがある。答えると必ず「え……そこ公式で絡みありましたっけ……?」と言われる。そのくらいマニアックなカプが好きだ。

人気声優さん(男性)の家に居候していたが、ある日「彼女ができたので出て行って欲しい」と言われる。そこで、ネットで物件を探し始める。高級ホテルのような素敵な家に住まわせてもらっていたので、代わりを探すのは大変だろうなと思う。都内で、5万くらいで住める場所を探すが、案の定なかなか無い。声優さんは、夜は家で学習塾を開くとのこと。ぞろぞろと生徒がやってくる。本業以外でもまだ稼ぐのかと感心する。

家を出て歩いていると、高校生のときに仲が良かった女の子にばったり出会う。その子はメイド服を着ていた。なんだかホッとした気持ちになり、一緒に駅に向かう。

突然道が細くなり、ツツジの植え込みの上を歩かなければならなくなる。枝が刺さって痛い。友達は「今日はペチコートを履いていないから困る」とぼやいていた。

道の先には池袋駅があった。なんだ、こんなに家から近かったのかと思う。ただ、看板にこそ「池袋駅」と書いてあるが、どうみてもそこは新宿駅東口だった。

……という夢をみた。激しく意味不明ではあるが、ところどころで自分の深層心理を窺い知れるような気もする。

好きな本

読書が好きだ。写真を撮る仕事をしているが、文字からイメージを得るタイプの人間なので、想像力の鍛錬という意味でも常に本に触れていたいと思っている。

自分の感覚にぴったり寄り添ってくれるような本にはなかなか出会えない。しかし「なんかおもしろそうだなー」とぬるい動機で購入した本ほど超絶ストライクだったりするので不思議だ。

先日入手した本があまりに好みで、久しぶりに「読み終わってしまうのが寂しい……」という気持ちを味わった。読了する前に検索すると、このタイトルはシリーズ化しており、どうやら4巻まで出ているらしいことを知る。マッハで「今すぐ買う」ボタンを押す。これでしばらくは読み終わらない。自ら施した延命措置にホッとする。

詳細は、某雑誌で書かせていただいている本の紹介コラムに記したい。

生きる

悲しみに包まれた一日。一報を耳にした瞬間、目の前が真っ白になった。手にしていたボールペンが、一度も触ったことのない未知の物体に思えた。

訃報には、今まで経験した近しい死を芋づる式に思い出させる機能が備わっている。生命活動を停止した人たちの顔が次々と脳裏に浮かび、心が勝手に傷つく。この自傷行為はしばらく続くだろう。

ふと我に帰ると、スマホにメール受信の通知がきていた。開くと「当選」というのんきな二文字が見えた。どうやら、以前応募したラジオの公開録音イベントに当選したようだ。急に現実に引き戻される。まさか当たるとは。そして、こんなところで運を使い果たすのってどうなの、と心配になりつつ、その日に仕事が入らないといいな、と思ったりする。

今日は感情が忙しい。

あらためて

日々感じたことを肩肘張らずに書きたい気持ちが強くなりました。

昔から他所(主にSNS)へ自分のコンテンツを提供することに抵抗があるので、ひっそり10年続いているマイホームである「ブログ」を少し改造し、こちらに言葉を残していくことにしました。写真はHPに集約して掲載していきますので、写真にご興味のある方はそちらをご覧いただけると幸いです。

テキストサイトに育てられた世代なので、ろじっくぱらだいすのワタナベさんの運営するサイトのように続けていけたらなと思っています。ちなみに当時の神はPOPOIの入江舞さんです。いまだにマイさんを崇拝する私。

『フィルムカメラ・スタートブック』

久しぶりの更新です。

2020年3月6日に、『フィルムカメラ・スタートブック』(玄光社)が発売となりました。初めての単独著書です。

フィルムカメラをはじめてみたい方に向けて、基礎知識・カメラの選び方・撮り方・現像方法まで解説させていただいています。特につまづきやすい、フィルム装填方法やカメラの扱い方については、動画をご覧いただけるようになっています。

また、写真も多く掲載していますので、作品集という観点で楽しんでいただくこともできます。

私はフィルムカメラに出会って、人生が豊かになりました。「この本を手にとってくださった方の毎日が、少しでも楽しいものになりますように」という願いをこめて執筆させていただきました。

制作に力を貸してくださったすべてのみなさまに感謝いたします。

『フィルムカメラ・スタートブック』(玄光社)商品ページはこちらです。
http://amzn.to/34DJOKg

『フィルムカメラ・スタートブック』には、約10年分の作品が掲載されています。

執筆にあたり、昔の作品を見返しながら、いままでのことを回想しました。

そのことを『新潮 2020年4月号』(新潮社)において、エッセイとして書かせていただきました。

タイトルは「ひとりでシャッターを切る」です。

写真と出会い、自分は一体どう変わったのか……

『フィルムカメラ・スタートブック』のあとがきのあとがき、として読んでいただけたら嬉しいです。

よろしければご覧ください。

新潮 2020年4月号(新潮社)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0857BRCGJ/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_8.HyEbP35TMMD