よくわかりましたね

ガソリンスタンドで洗車してもらった。久しぶりだったので奮発して高いコースにした。

お会計のとき、作業してくれたお兄さんに「カメラマンさんですか?」と聞かれてびっくりした。ガソリンスタンドでそんなことを聞かれたのは初めてである。

たしかに、私の車は機材が満載だ。後部座席をすべて倒し、そこに大量のライトやスタンドを積んでいる(車は事実上の2人乗り)。それを目撃したからだとは思うが、カメラやレンズや背景紙など、職業を特定しやすいものが置いてあるわけではない。写真用の機材を知らない人が見たら「様々なサイズの、黒っぽいケースに入った何かをたくさん積んだあやしい車」という印象にしかならないだろう。

「よくカメラマンだとわかりましたね」とお兄さんに言ったら、彼は「カメラマンかミュージシャンの二択だったのですが、大きなスタンドを見て、カメラマンさんだと思いました」と答えた。唯一ケースに入っていなかったのは、パラボラを立てるためのかなり大きなローラースタンドだった。こんなマニアックなものを見てカメラマンだと確信したのだとしたら、なかなかセンスがあるな……と思った。

こわくなる

嘘だったとしても嬉しいと思うことがあった。しかし、いわゆる「良いこと」があっても素直に喜べない。その分、不幸なことが起こるのではないかと考えてしまう。この思考を改めたいがなかなか難しい。嬉しかったはずなのにいまは恐怖に包まれている。

久しぶりにパックをしていて気がついたことがある。自分の目が、左右の穴の端ギリギリだ。下手をするとシートが目に入ってしまう。はて?穴の位置が変わったか?と思った。前は、そんな風に感じたことはなかったが……。

そういえば。最近「大村さんって魚顔ですよね」と言われる機会が異様に増えた。私のことを「魚」と呼ぶ友達もいるくらいだ。犬顔、キツネ顔、蛇顔などさまざまなジャンルがあるが……目が離れ気味の顔は「魚顔」と呼ばれるらしい。

言われてみると……他の人より目と目が離れている。魚っぽいことは否定しない。しかし!昔はこんなに魚ではなかった!20代前半の頃の写真を見ると、もう少し目と目が近い。

どうやら年々私の目と目は離れていっているようだ。大陸移動のように、ゆっくりゆっくりと……。魚顔は進化すると何顔になるのだろうか。

バイト

先日の現場で役者さんに「人前に出ず、かつ芸の肥やしになりそうなバイトってなんですかね〜?」と聞かれ、思わず「ラブホ○ルじゃない……?」と口走ってしまった。

何を隠そう私はラ○ホテルで受付のバイトをしていたことがある。客室清掃希望で面接に行ったのだが、気づけば受付に配属されていた。

わりと有名なところで働いていたため、この話をすると「え?まじ?」と動揺する人が結構な頻度で出現する。そんなときは「利用者か……」と思いながらほくそ笑むことにしている。

短い期間ではあったが、一生分の人間模様を観察できた。「なんか面白い話しろよ」と言われた際は必ずこのときの話をする。そうすると絶対にすべらない。

ただ、客室清掃の仕事ができなかったのは心残りである。死ぬ前に必ずや……。

10年近く前に体験談を書いているので興味のある方はどうぞ。

暑いところ

基本的にインドア派だが、ときどき、無性に暑い場所へ出掛けたくなる。今日はそんな日だった。汗を流しながら外で飲食したい気分だったので、テラスでカレーをいただけるお気に入りのお店へ行ってみた。

カレーを咀嚼する度に、胸のあいだにだらだらと汗が流れ落ちていくのを感じる。とにかく暑い。しかし、たまにサッと吹き込んでくる風が、異常なほど気持ち良い。カレーはもちろん美味しい。

ふと、中学校まで、校舎にクーラーがなかったことを思い出した。ただ、耐えきれないくらい暑かった記憶はない。最高気温が40度近くなるいまとは、だいぶ違ったのかもしれない。

暑いつながりで言うと、最近はサウナにとても興味がある。好きなエッセイストの作品にサウナが頻繁に登場するので気になっていた。そのことを知人に話したら、その人もまさかのサウナ愛好家であった。おすすめの施設を具体的に教えてもらったので、もう行かない理由がない。

サウナ愛好家は、サウナで得る快感のことを「ととのう」と表現する。私もその「ととのう」感じを体験してみたい。今日も、もしかしたら、ととのいたかったのかもしれない。

暑い中いただくカレーは最高

終戦記念日

終戦記念日。8月は「戦争」という文字を目にする機会が増える。今年は、どういうわけか、いつも以上にその二文字を自分に引き寄せてみたくなった。

学生の頃は、修学旅行で広島や長崎を訪れることも多く、「戦争」は常に近くに存在していた。しかし、大人になってからは、日々に追われ、「戦争」からはぐんと遠ざかってしまった。

終戦から75年経った本日、たくさんの戦争体験の手記を読んだ。子供の頃はただ「怖い」と震えるだけだった。だが、いい年になってから目を通すと、あのときとはまた違った感情が生まれてきた。もちろん恐怖は感じたが、それよりも「なぜこんなことが起きたのか知りたい」「戦争を防ぐために、自分には何ができるのか」という気持ちが先行した。こんな風に能動的に「戦争」へ触れようとしたのは初めてかもしれない。

「戦争」の原因と解決策、が究明されていればすでに世界から「戦争」は消滅しているはずであるが、そうではないところを見ると、いずれも明確ではないと想像はつく。取り急ぎ、太平洋戦争はなぜ起こったのかを論じた本やwebサイトを片っ端から読んでみた。昔、学校で習ったはずだが、すっかりと忘れてしまっていた自分を恥じた。

本を探しているときに、自宅の本棚に石内都さんが撮影された写真集『ひろしま』があることを思い出し、久しぶりにページを捲ってみた。可憐でむごたらしい、被爆遺品の数々。そこにはなんの言葉もないのに、言葉以上のなにかが心に深く突き刺さる。政治家でもなく、戦場カメラマンでもない自分が「戦争を防ぐために、何ができるのか」などと考えるのはおこがましい気がしていたが、もしかしたら、あまりに微力ではあるが、写真を通じてできることがあるかもしれない、と思った。

今日の昼間は、応援している声優さんのラジオの公開録音を見に行った。楽しそうに話している登壇者を眺め、幸せな気分でニヤニヤしながら、こんな世の中が続いて欲しいし、続けるためにできることを少しでもやっていこう、と心に誓った。

好みのタイプ(異性編)

この年齢になると聞かれることはあまりないが、人生において誰もが複数回質問されるであろうもの。それは「どんな人がタイプなんですか?」。

昔から「顔がいい」とか「金持ち」とか「おっぱいが大きい」とか、スラスラ出てくる人がうらやましいと思っていた。私にはこれといったこだわりがひとつもない。顔も金も体型もどうでもいいので、好きになる人は毎回、びっくりするほど違う。好きだなと感じたら好きなのだ。共通項なんてない……

と、思っていたのだが、検証の結果、ひとつだけ、好きになった人全員に共通している要素が存在していた。

好きになった人はみんな、

「信長の野望シリーズが好き」であった。

振り返ってみると、何らかのタイミングで「信長の野望シリーズが好き」であることが発覚していたように思う。地図を広げて「君だったらここの城にどう攻め込む?」と聞いてきた者もいた。

私は、政略・戦略的志向の強い人が好きなのかもしれない。

とりあえず、今後は好みのタイプを質問されたら「信長の野望シリーズが好きな人」と答えようと思う。