読書感想写真 #01

彼女が自分のまわりに築いてきた防御の壁は、
僕のものよりはずっと高く強かった。
しかしその中にあるものは、驚くほどよく似ていた。

村上春樹『国境の南、太陽の西』

* * * * *

岡山の展示のために作ったブック『読書感想写真』より。
サンプルとして数枚だけブログに掲載させて頂きます。
この本に収録している写真は、実際に手に取って見て頂きたいと思っています。
なんとなく。

現在は80ページ程のブックですが、
7月の名古屋の展示までにあと20ページ程追加したいと思っています。

鳩と私

あれは確かハタチの頃。
当時住んでいた家の前に、羽根を変な風に広げた鳩がうずくまっていました。

よく見ると、どうやら怪我をしているようでした。
右の羽根が折れ曲がり、羽根の内側も血まみれになっていてなんとも痛々しい感じでした。
野生の生き物を助ける事に関しては賛否両論あるかと思いますが、自分の中で「このまま放っておくのは可哀相」という気持ちが勝ってしまったため、私は鳩を箱に入れて近所の動物病院へ連れて行くことにしました。

診断結果は「骨折」。全治一か月。

その結果を受けて、私は一ヶ月のあいだ謎の鳩と一緒に暮らす事に…

* * * * *

胴体をテープでぐるぐるに巻かれた鳩の姿は鎌倉銘菓・鳩サブレーそのものでした。
それを見て、とりあえず「サブレ」という安易な名前を付けました。

獣医さんに「フンをためないでください」と言われれば、マメに箱の中を掃除して。
「定期的に薬をあげてください」と言われれば、諸々の予定を変更して鳩と一緒にいて。
「暖かくしてあげてください」と言われれば、動物用ヒーターを買って来て置いてあげて。
私はとにかくサブレが早く治って野生に戻れるようにと努力をしていました。

しかし、この鳩のふてぶてしさは異常でありました。

野生だから仕方ないのかもしれませんが、あの三白眼で一通りガンを飛ばした後、とにかく、噛む!噛む!エサや水をとりかえようとする私の手をいちいち攻撃してくるのです。「オメーのエサだよ!!」と言ってもおかまいなし。インコの数倍の大きさである鳩の攻撃力は思ったより高く(嘴も鋭い)、私の手は傷だらけ。学校で友達に「手、どうしたの?」と聞かれて「鳩にやられた」と返す日々が続きました。サブレは、密かに「私にだけ慣れてくれる鳩」というストーリー展開を期待していた私の心を見事にズッタズタにしてくれました。

一番驚いたのは「鳩は好き嫌いが激しい生き物」と知った時でした。エサをあげ始めて何日か経ったとき、常にエサ皿の上にトウモロコシが残っていることに気が付きました。最初はあまり気にしていなかったのですが、更に数日が経過しても同じ現象が起こるので、その時点で「こいつ、もしや、故意にトウモロコシを残しているのでは…」という疑問を持ちました。そこで獣医さんに相談したところ「鳩は好き嫌いが激しいのでそういうことはよくありますよ」という回答が…!せっかく高いエサあげてるのに、ていうかおまいら雑食じゃないんですか、しかも好き嫌いで残すとかふてぶてしいにも程がくぁwせdrftgyふじこlp

* * * * *

一ヶ月近く経ったある日。
帰宅すると、椅子の背にサブレが止まっていました。

状況を理解するまでだいぶ時間がかかりましたが…
かなり回復したサブレは、テーピングを引きちぎり、箱から出て部屋の中を飛び回り、最終的に椅子の背の上で落ち着いていたらしいのです。

おお、そんなに回復したんだ…良かった…!
思わず涙ぐんでしまいました。

まあその涙は、数秒後にハトのウ○コまみれになった私のベッドを発見した瞬間に干上がりましたけどね。ふてぶてしくも私のベッドの上で寝ていたと思われ。鳩が平和の使者って言ったヤツちょっと来い。

* * * * *

ウ○コ事件から数日後。獣医さんからも「そろそろ還してあげた方が良いですね」と言われた事を受けて、私はサブレを野生に戻すことに決めました。

家の近くの公園でサブレを放すと、サブレは近くの電線までバサバサと音をたてて飛んで行きました。

決して振り返らずに…

最後までアンタはそんな感じですか…と思いましたが、家に帰ってサブレが入っていた空の箱を見るなり、嬉しいのか悲しいのか寂しいのかわからない涙がワーっと込み上げて来て、小一時間泣いてしまいました。

* * * * *

時は流れ、数日前のこと。
岡山県にある後楽園で、一匹の鳩に出会いました(写真)。
近づいても決して立ち上がろうとしないそのふてぶてしさを見て、私はサブレを思い出しました。

まさか。ねえ。

※「鳩」を「男性」に置き換えるともれなく私の恋愛観をお楽しみ頂けます。

マジシャン小説家

小説『ココロ・ファインダ』の表紙に私の写真を使って頂いたご縁で、小説家の相沢沙呼先生と、光文社の担当さんにお会いする機会に恵まれました。

先生は、やわらかーい雰囲気をお持ちの可愛らしい方でした。ニコニコ顔が素敵すぎました。「この笑顔を守るためなら、俺はなんだってする!」と突然決心してしまいそうなスマイルをされるのですよ。ズッキュン☆そんな相沢先生と私は、実は同じ年なのです(83年製)。同じ年なのに、かたや立派な小説家、かたやデスニート。このちがい如何に。

先生と担当さんとは色々なお話をさせて頂いたのですが、一番盛り上がったのは『ダイの大冒険』の話でした。ひょんなことから3人とも『ダイの大冒険』に激ハマリしていたことが発覚し、そこから話はどんどんマニアックな方向へ。私が「小さい頃、枝を見つけるたび逆手に持ってアバンストラッシュの練習をしていました」と言えば、先生は「よく、鎧化(アムド)!!って言って遊んでいました」などと発言。他にも「ポップの必殺呪文・メドローアは練習したら自分でも打てるようになると思っていた」「ベタンという呪文の地味さ」「クロコダインの獣王会心撃」「ヒュンケルの技はグランドクルスが一番カッコいい」「ザボエラ、フレイザードの外道さ」などのテーマを熱く語り合いました(何の集いなのかと)。

しかし、この日一番のイベントは、何と言っても先生の「マジック」でした。

先生の著作『午前零時のサンドリヨン』『ロートケプシェン、こっちにおいで』には女子高生マジシャン・酉乃初が主人公として登場し、たくさんのマジックを見せてくれますが、実際に相沢先生自身もマジックをたしなんでいらっしゃるのです。鮎川哲也賞の贈呈式でも実演されたそうです。この日も、おもむろにトランプを取り出し、目の前でいくつかマジックを披露して下さいました。贅沢!

私がサインを書いたトランプのカードが先生の財布の中から出て来たり、先生が息を吹きかけた瞬間なにもない場所にトランプのカードが現れたり…そんな光景を次々と目の当たりにして、私は始終「すごい!」と言いっぱなしでした。最後の方は、すごいを通り越して怖くなって来て「ゔへぇぇ…」と変な声しか出せなくなっている自分がいました。先生のマジックは趣味の域なんてものではなく、プロとして通用するようなレベルのものでした。小説を書けるだけではなくてマジックまで出来るなんて…どういうことなの…!沙呼…恐ろしい子…!(すみません)

また、先生は『ココロ・ファインダ』執筆をきっかけに、現在は写真にハマっていらっしゃるそうです。この日はロモを持参されていました。いま一番欲しいものはRolleiflexの二眼レフだそうで。私が持っていたSL66Eのファインダーも興味津々に覗いていらっしゃいました。

* * * * *

本当に「またお会いしたい」と思うような素敵な方でした。先生のこれからの作品が楽しみです。このご縁に感謝。

薄れ行く記憶

この間、同じ年の友人と『宇宙兄弟』の映画のポスターを見ていた時のこと。

私「ねえ、岡田将生クンじゃない方の人、誰だっけ…?」
友「うわー思い出せない、誰だっけ」
私「短い名前!おいしそうな名前!山田優ちゃんのダンナ!」
友「この人の名前思い出せないのは世代的にヤバい気がする」
私「ああ、ここまで出てるのに思い出せない!」
友「誰だっけ…」

いやあショックでした。
「小栗旬」という名前を思い出せないなんて…!

小さい頃、よく母親が「最近、人の名前が出て来なくて」と言っているのを聞いて、当時は「そんなことあるものか」と思っていたのですけれども。いたのですけれども…

最近、本当に人の名前が出て来ません

というか、記憶全体が怪しいのです。人の名前を思い出せないだけではなく、自分が記憶しているものと実物がだいぶ違ったり。そのようなことが随分と起こるようになりました。必死で脳内をスキャンする時間が長くなったように思います。自分でもびっくりするくらいに。やはりこれは年をとったということなのでしょうか。

今日載せた写真もその例のひとつなのです。
壁にへんなものがぶら下がっているのを見て、私は瞬時に「ゾーンイーターみたい!」と思って撮りました。

ゾーンイーターというのはファイナルファンタジー6に出てくるモンスターです。
吸い込まれるとゴゴがいる洞窟にいけるやつ。
それを知らずに本気で戦っていた人も多いはず…

しかし…
念のためゾーンイーターを画像検索したのですが、
あれ…なんか違う…
こんな色だったっけ…?
口のところ赤じゃなかったっけ…??

私の記憶していたゾーンイーターと、実物はだいぶ違いました。ショック!

でも、私の心が「絶対、これは何かのモンスターに似てる!」と主張していたので、もう少し考えてみる事にしました。なんだろう…何に似てるんだろう…。考える事15分。

わかりました。

ギギネブラだ。
モンスターハンター3に出てくるやつ。

これだ。似てる。

スッキリしました!

甘い妄想

GWまさかの休みゼロ。
毎日2〜3時間くらいしか寝られず。
そんなことを家でボヤいていたらダンナに「お前はミサワか」と言われました。
たくさんの貴重な経験ができて充実した日々でしたが、ヘトヘトです。

でもそういう時に限って妄想が止まらなくなります。
いいなあ美少女かわいいなあうへへ

…寝ます

【お知らせ】写真展について

こんばんは。虫です。
GWいかがお過ごしでしょうか。
私は撮影と現像とスキャンとバイトだけで終わりそうです。

5月の岡山、7月の名古屋の写真展の詳細を記載させて頂きます。
宜しければご覧下さい。

<岡山:女子シャシン展 Femmes photograhes>

DMです。ギャラリーの方のご厚意で私の写真を使って頂ける事になりました。この写真は今回展示しないのですが(汗)

●日時●
2012.5.19sat-5.27sun
12:00-20:00
※19日か20日にお邪魔します!

●場所●
pieni deux
(岡山市北区出石町1-4-6)

●内容●
以前ブログにも書きましたが、私は「読書感想写真」というアプローチでやらせて頂きます。ようやくブックの写真が全て出揃いました。ほとんどこのブックのために撮りました。50ページくらいのものが作れればいいなと思っていたのですが、4月に鬼のように撮影した結果、計82ページになりました。犠牲者被写体になって下さった方々、ありがとうございました。

自由に撮りすぎた結果、エログロ要素の強い、黒い本になってしまいました。R15くらいです。見て下さった方は絶対「やだ…この人、暗い…!」と思われるはずです。私の本質はやはりそこなんだなと妙に納得。しかし…「女子シャシン展」にうっかり出してしまって大丈夫な内容なのか心配になってきました(いまさら)

頑張って写真を撮ったので、何卒宜しくお願い致します!

<名古屋:6-sense 全紙写真展「OTHELLO」>

●日時●
2012年7月20日~22日、7月27日~7月29日
金、土曜日 12:00~20:00
日曜日 12:00~19:00
※どちらかの週末、在廊します!

●場所●
ギャラリープシュケ
(名古屋市中区大須二丁目13番地17号)

●内容●
テーマは「陰と陽」です。
1人につき、壁に全紙サイズの写真を2点展示します。
2枚の写真を使い、それぞれの陰と陽を表現します。

私は壁面の展示の他に、新しいブックを出展させて頂く予定です。
6人のメンバーとともに、楽しく準備中です。

DMが完成したらまたお知らせ致します。

●専用Twitterアカウント●
https://twitter.com/#!/2012othello
よろしければフォローお願い致します。

●ブログ●
http://exhibition7.blog.fc2.com/
メンバーがそれぞれ、準備の様子などを綴ります。私も週に1回(←目標)は更新させて頂こうと思っています。「シャッターガール」では写真に関する考え方や技術のことは殆ど書かないと決めているので、その分をこちらの写真展ブログで書かせて頂こうかと思っております!宜しければご覧下さいませ。

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7月まで超スクランブル状態ですが、頑張ります!
一番走れるのは今だと思うので…