5月28日発売、窪美澄先生の小説『さよなら、ニルヴァーナ』(文藝春秋)の表紙に、わたしの撮った写真を使っていただきました。
このお話をいただいたとき「夢か」と思いました。なぜならわたしは元々、窪美澄先生の小説の大ファンだったからです。写ガールの読書感想写真でも『ふがいない僕は空を見た』を取り上げたことがありますし、FBでも勝手に『よるのふくらみ』を激推ししたりしていました。窪美澄先生の小説は、女性独特の鋭い視点で、人間がひた隠しにしている、目を背けたくなるような感情をあぶり出してくるような感じがいたします。読み終わったあと、いつも「これでもか!」というくらい打ちのめされます。でもそんな感覚が大好きで……。その先生の作品の一部になれるなんて身に余る光栄すぎてもうくぁwせdrftgyふじこlp
ネタバレしない程度に作品のご紹介と感想をば。
この小説は「少年A」に人生を変えられた人々の物語です。少年犯罪の加害者、被害者遺族、加害者を崇拝した少女、その運命の環の外にたつ女性作家、4つの視点で語られていきます。先生自身が「地獄へ道づれ、みたいな本なので、取り扱いに注意してください」と仰るとおり、覚悟をもって読まないと即死するレベルの重たさです。
ただ、この小説が言いたいことは、愛情を注がねばなりません、とか、人を殺してはいけません、とか、そういう道徳・非道徳的なことではないと感じました。人類を大きく「人間の中身を見たい人」と「観光をしているように日々を楽しく生きていく人」に分けるとしたら、『さよなら、ニルヴァーナ』は間違いなく前者に向けたものです。そして「人間の中身を見たい人」が一体どこへ向かい、どうなっていくのか……が最後に描かれているように思いました。『さよなら、ニルヴァーナ』の本当の主人公は窪美澄先生なんじゃないかしら。
正直、この本に救いはありません。だけど「救いがないと知れたことが救い」な気がして、読後、不思議と暗い気分になりませんでした。わたしはこれから、迷って、悩み、苦しみ、悶えて、撮って、撮って、撮って、そして、死のう、と思いました。
本日から全国の書店に並んでいるはずです。とても綺麗な装丁です。見かけたら、お手にとってご覧くださいませ。
読んでいただければ、どうしてこの写真が表紙なのか、なんとなくわかるかと思います。
さよなら、ニルヴァーナ/窪 美澄
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163902562