「昔の写真のほうが面白かったね」

大好きな東京ゲゲゲイのMIKEYさんのツイート。数日間忘れられなかったので、ブログ上で気持ちを整理することにしました。

私、よく言われるんですよ。「昔の写真のほうが面白かったね」って。

貧乏・愛のねじれ・精神破綻の三つ巴に翻弄され放題だった20代は、心に巣食う真っ黒でネガティブな感情をひとつひとつ拾い上げて作品にしていました。いま見ると稚拙で顔を覆いたくなるようなものばかりですが、たしかにユニークなものが多い。

でも、年月が過ぎて30代後半に差し掛かると、あのときの危うい自分はすっかりと消え去っていることに気が付きました。と同時に、あのときの写真を撮れなくなっていることにも。

この近年は、そのことにずっと葛藤がありました。

年を重ねるごとに、経済面も人間関係も精神も安定し、それに伴い新しい表現をたくさん得ました。特に人物写真に関しては、被写体の方へ平等で温かな視線を送れるようになり、結果として写真もだいぶ変わったように思います。

しかし、変化を実感するたびに「昔の写真のほうが面白かったね」という言葉が頭をもたげます。……丸くなるほどにつまらなくなっているようでずっと怖かったです。表現を光らせるためには、幸せになってはいけないのだとどこかで思い続けてきました。

そんな中、MIKEYさんのこのツイートが、心を視界不良にしていた霧を一気に晴らしてくださいました。

特に効いたのは「表現者も幸せであってもいいのよ」「人生のその時その時の感情を作品にし続ける。それが、私の仕事であり、覚悟。」です。幸せになってもいい。しかし、それに甘えるのではなく、その時その時の感情を全力で作品にし続けることが大事なんだと。

これからは「昔の写真のほうが面白かったね」という方に、「私はいまの写真も好きなんですよ」と胸を張って言えるように努力していきたいです。

東京ゲゲゲイさんはデビューの頃から好きですが、ツイートにもあるように次第に表現が変わってきたような気がします。MIKEYさんの言葉から、この先へ向かう勇気と希望をいただきました。ありがたやありがたや。