ボスはよく「アシスタントは、1年目に意味がわかって、2年目に慣れて、3年目に実技」と言います。
2015年の9月にいまの会社へ入社したわたしは、まさに今年が1年目。「意味がわかる」とは何だろう、とずっと考えていました。
2016年はとにかく動いて動いて動きまくった一年でした。
入社したときに「うちの一年はよその3倍の濃度だよ」と言われていたのですが、本当にその通りでした。ボスである福島裕二さんはわたしが知りうる人の中で間違いなく一番働いています。カメラマンとはこんなに仕事があるものなのかと驚きました。最初の頃は機材(←カメラリュックがすでにわたしの体重と同じくらいの重さ)ひとつ持ち上げられず、体力もついていかず、自分の気の利かなさに死にたさが募るばかりで「この先、大丈夫なんだろうか……」と不安しかありませんでした。でも「とにかくやるしかない。わたしには後がない」と思って、自分のできないことや気をつけるべきことをノートに書き出して毎日眺めたり、エレベーターのないスタジオで、自分なりの制限時間を設けて一心不乱に走って機材を運んだり、ポンコツはポンコツなりに、せめて一生懸命やることだけは忘れないでいよう、という気持ちで毎日現場に出るようにしていました。
2016年の後半は何度か海外ロケにも連れて行っていただいたのですが……自分の中で「今年大変だったことベスト1」を選ぶなら間違いなくこの海外ロケを選びます。海外ロケは普段のロケとは違った意味で戦争です。長期にわたるロケ、暑さで吹き出す汗、(諸事情により)慣れない機材、襲いくるスコール、広大すぎるロケーション、予期せぬアクシデント、データ管理、機材整備、他のスタッフさんとの関係性……気にすべきことがいつもの何倍もあって、体力面でもギリギリで、いつまで経ってもわたし役に立ってないな〜としか思えなくて、毎回帰って来るたびにハァ〜と落ち込みます。いつも冷静に、的確にあらゆることを処理していくボスは本当にすごいなと思うばかりです。
そんな日々を過ごしていく中で「もっと頑張らないとダメだ」と思うことがどんどん出てきて、2016年の後半は、まわりの人々だけがグイグイ先に進んでいって、自分だけが前に進めず取り残されている気持ちになってしまって、暗闇の中、日々悶々としていました。
「意味がわかる」とは何だろうか。
ずっと考えていたけど、よくわかりませんでした。
でも。
2016年終盤、1年ぶりに一緒に撮影の仕事をした人がいたのですが、その人がわたしをみて「祐里子さん、1年前とは別人だね。前はアマチュア上がりのネーチャンって感じだったけど、いまは違う。動きも撮影も顔つきも、何もかも別人だね」とおっしゃってくださいました。そして、他のスタッフさんも「祐里子さん……体が自然と動くんですね」とおっしゃってくださって。
わたしはいつもと同じようにしていただけなんです。前と何かが違うという実感なんてありませんでした。でも、そのとき、
「あ、わかった。」
と思いました。
うまく言葉にはできません。
きっと、アシスタントをする意味というのは、そういうことなんですね。
最後にわかってよかった。
この一年ずっと、自分が成長できているのかまったくわからなくて辛かったです。だけど、おそらく、間違った方には行ってない。そう思えました。
わたしの2016年はそんな感じです。
今年お世話になった皆様、本当にありがとうございました。2017年もどうぞよろしくお願いいたします。
来年の抱負についてはまた年明けに。