百田尚樹さんの『海賊と呼ばれた男』を読みました。
入院しているときに『風の中のマリア』『永遠の0』を読み、百田尚樹さん面白いなあと思い、最新作である『海賊と呼ばれた男』にもチャレンジしてみた次第です。出光興産の創始者である出光佐三氏の伝記的小説です。この中に「イランから石油を輸入する」というくだりがあるのですが、そこで久しぶりに思い出したのです。「あ。イラン」と。
話はだいぶ遡りますが、私は大学生時代、「イスラムの歴史」「中東の歴史」「アラブの歴史」「イランの歴史」といった授業を好んで履修しておりました。アメリカ同時多発テロ事件直後の時期であり、世界が「イスラム世界」に注目していたことにわかりやすく影響された結果です。ちなみに、自分の所属は法学部法律学科です。イスラム何の関係もない。
中でも「イランの歴史」の授業が印象深かったです。耄碌としたお爺ちゃん先生が語る「イランの人は砂糖を食べてからお茶を飲む」「女性は顔をチャドルで隠しているので基本的に誰が誰かわからない」などの、見たことも聞いたこともないイラン風俗の話がとても興味深く、面白かったことを鮮明に覚えています。未知の領域の話を聞くのが好きなのは昔からです。
そんな「イランに興味があった自分」を、『海賊と呼ばれた男』を読んで思い出したというわけです。
そこで、思い立ったら吉日、が人生のテーマである私は「数年ぶりにイランの本でも読んでみるか」と思い、Amazonで関連のありそうな本を探しました。いくつか候補があったのですが、最終的に『イラン人は面白すぎる!』(エマミ・シュン・サラミ/著)という新書を選びました。決め手は、著者の方が「在日イラン人であり、現在は吉本興業所属のお笑い芸人」という斬新なプロフィールだったからです。
読んでみた感想ですが。いやあ、タイトル通り、面白すぎました。イラン=危険すぎるテロリスト国家、という負のイメージを見事に覆されました。本全体にイランおもしろエピソードが溢れていて始終笑いが止まらない仕様になっています。特に抱腹絶倒だった話を8つ引用させていただきます。
1 イランでは『おしん』が大人気であり、かつての世論調査で「大統領になってほしい人」に泉ピン子がランクインしたことがある。
2 ラマダン(断食月)中はイライラが募るためモノに八つ当たりする人が多くなり、家具や電化製品の売り上げがいつもの5倍くらいになる。
3 ラマダン中はグルメ番組の放送が禁止になる。有名シェフが料理を披露する一時間番組は、料理ができないため、仕方なくシェフが音楽に合わせて踊るというダンス番組に変わる。しかし空腹のため最初の5分でバテる。(謎)
4 3に関してはアニメも例外ではなく、『それいけ!アンパンマン』ではアンパンマンの顔にモザイクがかかる。バイキンマンと闘うヒーローの方にモザイクがかかり、どっちが悪者かわからない不思議なアニメと化す。(※試しに作ってみたけど、どう見てもアソパソマソの方が犯罪者)
5 一夫多妻制なので、日本ではよく「野球チームがつくれるくらい子供が欲しい」と言う人がいるが、イランの石油王の家庭だとチームどころではなくリーグ戦が行えるくらい子供がいる場合がある。
6 イスラム刑法であるシャリア法の原則は「目には目を、歯には歯を」で名高いハンムラビ法典からきている。それに従いすぎて珍罰刑が言い渡されることがある。女性の着替えを盗撮した男が「パンツ一丁で、被害者の女性の家族全員にバシャバシャ写真を撮られる刑」を、近所の家で飼われていたニワトリを盗んだ男が「ニワトリを盗まれた被害者が男の家を訪れた際には、晩ゴハンを振るまわなきゃいけない刑」を、許可されていない欧米の音楽を聞いた男が「24時間コーランを唱えたCDを聞かされる刑」を言い渡されたりする。
7 イランでは受験戦争が熾烈を極めている。近年では日本で働いていたイラン人が世界中でおきている漢字ブームに目をつけ「合格」「勝利」などの熟語を用いた受験グッズをヒットさせている。しかし「横綱」「鬼嫁」「野人」「牛角」(←変換ミスと思われる)などのあきらかに受験とは関係のない熟語まで商品化されている。
8 ナンの需要が高いので、国立大学の中に「ナン学部」が存在する。
…などなど。他にも、たくさんの面白いエピドードが掲載されています。読んで良かったです。サラミさんありがとう。
イランが危険な側面を持っていることも事実なのでしょう。でもそれが全部ではない。無知ゆえの勘違いってありますよね。海外の人だって日本をえらく勘違いしているし。知人はアメリカで現地の人に「Are you NINJYA?」と本気で聞かれたことがあると言いますし、私も学生時代、フランスからの留学生にやはり「忍者の修行はどこでするのか」と真顔で聞かれたことがあります。いねーよ!!!と思いつつも、それが現状なんだなあと思います。
この本を読んでますますイランに興味を持ったので、来年あたり旅行してみようかなと思っています。真実はこの目で確かめないとね。
ところでペルシャ語ってどこで習えるんですかね?
こんにちは。
うわー、ゆり茶さん、マジっすか。笑
相方がイラン系アメリカ人でして、
イランの話はいろいろと聞かされており、
私もいつの日か行ってみたい、思っているのです。
ゆり茶さんがイランでどういう写真を撮るのか、
かなり興味あります。
その本、面白そうですね!
サラミさん、、、異色すぎです^^;気になる・・・
角砂糖を口に含んでからお茶飲んでますね、確かに。笑
日本への関心も高そう。特に女性が。おしん効果!?
悪いイメージ、怖いイメージ、間違ったイメージだけが定着しすぎってのはありますよね。どこの国についてもですけど、ゆり茶さんのような見解の人が増えるとこの世はもっと平和なんだろうな。
そうそう、忍者とか芸者とかね。笑
海外映画で描写される日本人、笑えるけど抵抗もありますね。
「やーーめーーてーーー」っていう。
一方で、個人的な経験からの統計上
崩れないステレオタイプっていうのもあったりして。
ちなみにペルシャ語、日々耳にしてますが、喋れません>_<
はあー。驚く事ばかり。
ゆり茶さんの「嘘です」を探してみましたが無いなんて…。
こうして考えてみると、他国の事なんて何も知らないんだな、という事をようやく思い出します。
あれ、いつの間にかイラン三昧な内容にΣ(゚д゚lll)
イランと言えば、昔イラン人の留学生と二人きりで広島観光したことが。日本語は話せないけど、イスラム教徒じゃないし、お好み焼き食べに行ったら普通に箸使うし、あんまりイラン人っぽくなかったです(=^x^=)
ただ、もみじまんじゅうはすごく言いづらかったらしく、ずっとムサシシンジョウって言ってました♪(´ε` )
日本で数人のイラン人と知り合いましたが、みんな驚くほど礼儀正しく義理堅く社交的で明るい酒飲みでした(笑)
自分の中では欧米より親近感のある国です。
>>Yokoさん
こんにちは!
なんと!相方さんはイラン系アメリカの方でしたか!
びっくりです!!!
生の話をお聞き出来るとは、うらやましいです(笑)
今度ぜひいろいろお聞かせ下さい!
本場の方的にはこの本はどうなんだろう、と思います。
ぜひ相方様のご感想をお聞きしてみたいです(笑)
この本によると、日本の女性はイランにおいて「オシンガール」という感じでモテるらしいです。
ペルシャ文化の遺産もたくさんありますし、イランはぜひ行ってみたいです。
基本的に私は見たものしか信じないので、こういう考えになっちゃうんですよね〜。
そのせいで危険な目に遭うこともかなり多いのですが(笑)
海外の方の考える日本、というのも面白いですよね。
キルビルなんかも、随所随所でおかしなことが起こっていて笑えました(笑)
ペルシャ語、やはり難しいのですね!
どこかに習いに行きたいんですよね〜
>>SDさん
驚きますよね!(笑)
別の場所では想像も及ばぬことが起きているんだなあと思います。
きっともっと面白いこともあるに違いない…。
ということで他の国についてもいろいろ勉強してみたいです!
>>kakitsubataさん
思い立ったので記事にしてみました(笑)
イスラム教徒ではないイランの方ですか!珍しいですね!
私もイラン人のお友達が欲しいです。
ムサシシンジョウ、全く関係ないですね(笑)
元カレが住んでいた武蔵新城、懐かしい…
>>Robertoさん
わたしはお友達がいないのでわからないのですが、
本によるとイランの方は本当にそのような感じでした(笑)
お酒禁止の国なのにみなさんよく飲まれるとのことで。
こんにちは(^_^)
ペルシャ語は上智大と拓殖大で社会人向けの講座をやってるね。
イスラム圏のことは僕も色々と調べたりすることがあります。911のテロ以降の出来事も長い歴史の流れを踏まえて理解したいですよね。
パレスチナ問題みたいな政治的な軋轢も日本人には分かりづらいけど、文化的にも皮膚感覚で捉えにくいと思うことが少なからずあります。
ゆり茶さんの紹介してくれた本は中々良さそう。今度探してみます。
それはそれとして、明日からの展示楽しみにしてます。病気など色々と大変なことのあった後の展示ですが、元気な様子を見て感じることができればと思います。
ではまた近日中に(^^)/
>>だいきちさん
こんにちは!
ペルシャ語講座は大学にあったのですね。
しかも上智大は近いので気になります。調べてみます!
いまは『イスラーム文化』という本を読んでいます。
理解出来ることは理解しておきたいですよね。
『イラン人は面白すぎる!』はお薦めです。よろしければ。
写真展、開催しております〜。
入院一週間は痛手でしたが、お陰様で、なんとかパネルも写真集も完成いたしました!
ご覧になっていただけたら嬉しいです。